720PSを発生する3.8ℓV8ツインターボを搭載したマクラーレンのスーパーカー、720SのGT3モデル。これは2020年8月に開催されたGT3世界一決定戦『BH　AUCTION SMBC SUZUKA 10HOURS』にプラネックス・スマカメ・レーシングから出場したマクラーレン720SGT3。ドライバーは98年、99年のF1ワールド・チャンピオンのミカ・ハッキネンと15年、17年のスーパーフォーミュラ・チャンピオン石浦宏明、そしてモナコ・ヒストリックGPで二度の優勝経験をもつ久保田克昭の３名で、初参戦ながら総合22位、PROクラス18位で完走したマシンそのもの。今回はオーナーの久保田本人がドライブする。

2017年のWTCC（世界ツーリングカー選手権）に出場したホンダ・シビックWTCC。欧州仕様のFK型シビックをベースに大幅な空力モディファイが施されたTC1規程のワークス・マシンである。これはディアゴ・モンテイロ、ノルベルト・ミケリスに加え、2016年の日本ラウンドでのスポット参戦を経てレギュラー・ドライバーに加わった道上龍がドライブした個体。11月18日に行われたマカオ・グランプリのオープニングレースでは、3番手グリッドからスタート後、テッド・ビョークのボルボS60 WTCCを見事に抑えきり、日本人初となるWTCCの表彰台を獲得したヒストリーの持ち主だ。

2023年より全日本ダートトライアル選手権に田口勝彦のドライブで本格参戦を開始。初年度に7戦中3勝を挙げDクラス・シリーズチャンピオンを獲得。2024年も７戦中3勝を挙げ、Dクラス連覇。そして2025年は４輪駆動車のD2クラスに参戦し8戦中6勝を挙げ3連覇を達成したHKS ランサー・エヴォリューション（CZ4A）。フロントバンパー、ルーフ、ドアをはじめ、各部をカーボン化したワイドボディは200kgの軽量化を施したうえでホイールベースを短縮。そこにHKS 2.2L KIT、HKS GTIII-RSターボを組み込み、最高出力495PSを発生する4B11改エンジンを搭載している。

1970年の鈴鹿12時間GT-1クラスにホンダS800で出場して優勝した戸田幸男が1971年に設立した戸田レーシング。79年からF3のエンジン・チューンを手がけ、95年からF3チームを結成し全日本F3選手権に出場してきた名門チームである。これは2019年の全日本F３で大湯都史樹がドライブしたダラーラF319で、エンジンには自社開発のTODA TR-F301ユニットを搭載。第10戦菅生で優勝しシリーズ・ランキング4位を記録したヒストリーの持ち主だ。今回は2000年に戸田レーシングから全日本F3に出場し、シリーズ３位に入った経歴をもつ、2004年ル・マン王者の荒聖治がドライブする。

SUPER GTや全日本ジムカーナなどでも活躍するプロドライバー、柴田優作が率いる「ARVOU」が製作した、ホンダS2000をベースとしたタイムアタックマシン。エンジン本体は戸田レーシングの2.35LキットにHKSのGTS7040スーパーチャージャーを組み合わせた過給機仕様で、F-CON Vプロによる綿密なマネージメントにより、450ps／50kgmを絞り出している。エクステリアはボルテックスの『サーキットバージョンII』。長年のタイムアタックチャレンジで実績のあるトップフューエルS2000RRのハイエンドエアロをベースに空力機能をさらに高次元でリファインした製品だ。タイヤはYOKOHAMA／ADVANのA050G/S。筑波サーキット2000でのタイムは53秒５である。ドライバーの柴田は2023 年に実施したテスト走行で非公式ながらトップタイムをマークし、昨年も2回目アタック時に駆動系のトラブルを起こし残念な結果となったがそれでも3番手タイムをマーク。三度目の真庭アタックとなる今年は雪辱を果たすべくより攻めた走りを見せてくれることだろう。

苛烈を極める筑波サーキットのタイムアタック戦争で、最も注目を集めるのがこの「B-A-R 常陽不動産 RSC300」だ。30系ソアラで筑波アタックに挑んできた坂東選手の2号機であり、1200馬力の2JZエンジンを400mmも後方にオフセットして搭載し、前後重量バランス51：49を実現。エキゾーストレイアウト最適化のため左ハンドル化するなど、純粋に速さだけを追求した仕様となっている。現状のベストタイムは51秒086。オフシーズンにも細部のアップデートを進め、目標とする50秒切りに向け、今季も大きな期待がかかる。そんな最速級のタイムアタックマシンが「峠」でどれほどのパフォーマンスを見せてくれるのか？ご注目いただきたい。

ストリートからサーキットまでステージを選ばない快適性と速さを追求しているHKSのシビックタイプR。FL5チューニングの最前線を駆け抜けるデモカーは、専用開発となる電動式アクチュエーターを備えたハイフロータービンで武装。同社のマスタリーECUとの組み合わせによって、400ps近いパワーと50kgmという大トルクを獲得している。このほか排気系や冷却系、サスペンションなど主要パーツは一通り自社製のアイテムを開発し投入済み。最新モデルであるFL5型シビックタイプRの高いチューニング適性を示すベンチマークとなる存在だ。

競技ドリフトの最高峰・D1GPに参戦し続ける名門RE雨宮。同社がイベント用のデモランや同乗走行を目的に製作したのが、この「D1レプリカ号」だ。900馬力の4ローターターボを積む競技車とは異なり、こちらはサイドポート拡大加工を施した13Bエンジンに、HKS製TO4Zタービンを組み合わせた420馬力仕様。よりユーザーライクなスペックで、ロータリーチューンの魅力を身近に体感できるメイキングとなる。ボディキットはD1マシンと同一で、足まわりもドリフト仕様のセッティング。見た目のインパクトだけでなく、実際にドリフト走行もこなせる一台だ。

関西におけるロータリーチューンの名門、フジタエンジニアリングのFD3S。快適装備としてエアコンとオーディオを残しつつ、見えない箇所の徹底的な肉抜きによって、車重は1220kgから1070kgまで軽量化されている。エンジンは、サイドポート拡大加工などを施した同社のニュルスペックコンプリートエンジンに、ターボスマート製TS-1 6262タービンを組み合わせ、550ps＆55kgmを発揮。筑波サーキットコース2000ではベストタイム57秒9をマークしており、「快適装備付きでもタイムを出せる」というマシンの製作コンセプトを体現した一台だ。フジタエンジニアリングは昨年に続いてのエントリー。さらなる躍進を誓う。

GT-Rビルダーとして世界的に名高いガレージアクティブ。同社が2022年のSEMA SHOW出展車両として製作したのが、このBNR32だ。外装は、ルーフやクォーターパネルなどモノコック一体の外板パーツに至るまで、自社製ドライカーボンパーツに置き換え、寸分の狂いもない精緻なカーボンボディを構築している。ボディカラーには深みのあるミッドナイトパープルIIIを採用。エンジンはこの車両でワールドプレミアとなったHKS製RB26改3.0Lキットに、HKSラインナップ最大サイズのGT75115-BBタービンを組み合わせ、1000ps仕様を実現している。デモランエリアでのド迫力のパフォーマンスに期待？！

長い歴史を誇るチューニングパーツメーカー、OS技研。その中でも特筆すべきは、1980年に発表されたL型ベースのDOHC24バルブエンジン「TC24-B1」だ。昭和51年式のS31Zをベースに製作されたこのチューンドは、「TC24-B1」の後継モデルである「TC24-B1Z」の開発車両でもある。エンジンはJCCA（日本クラシックカー協会）のレギュレーションに合わせ、L24ベースでボア＆ストロークを拡大したDOHC24バルブの3136cc仕様で、出力は380ps＆38kgm。まさに“無いモノは造れ”という同社の精神を体現したスーパーチューンドエンジンと言える。昨年の真庭速祭で得たデータを元に今年はさらにセッティングを整えての参戦というから期待したい。

旧車チューニングの先駆者である老舗、スターロード。高い技術を持つ職人が時間をかけて仕上げる車両は、アンダーフロアはもちろんパネルの内側に至るまで一点の曇りもなく仕上げられ、まさに“走る芸術品”と言える。このS30Zは、同社代表・井上氏の愛車であり、チューナー視点で「理想のサンマル」を追求した一台だ。エンジンはL28改3.2Lフルチューン仕様で、NAながら最高出力は380psに達する。エクステリアはスターロード製フルキットを装着し、ホイールも自社デザインのグロースターを履く。

ポルシェ911 GT3をベースにしたタイムアタックマシンは数多いが、この個体は一線を画す。エンジンルームにはポルシェ伝統のフラット6ではなく、1000psを発揮する異色の3ローターターボを搭載。エンジンのマネジメントはLINKで行ない、燃料にはE85を採用するなど、ストイックな競技志向の仕様だ。製作はSPAN RACINGが担当し、外装はJINYA YAMAKAWAのアートをラッピングのプロショップとして知られるJOKERが再構築したフルラッピングで包まれる。異なる文化と技術が交わることで生まれた、唯一無二のGT3である。

世界３大耐久レースの１つ、デイトナ24時間レース制覇を目指して開発されたIMSA GTPマシン。シャシー設計をリー・ダイクストラ、エクステリア・デザインをランディ・ウィッティンが行い、カーボンモノコックシャシーに787Bと同じながら若干デチューンされたR26B型4ローター・ユニットを搭載している。RX-792P は1992年のマイアミ２時間にプライス・コブとピート・ハルスマーのドライブでデビュー。第５戦ライムロックで３位、第８戦ワトキンスグレンで２位入賞を果たすなど将来を期待されたが、マツダ本社の方針により92年限りで活動を休止した悲運のマシンでもある。

1990年から93年までの全日本ツーリングカー選手権（JTC）ディヴィジョン１を席巻したR32型日産スカイラインGT-R。中でもホシノ・レーシングからエントリーしたカルソニック・スカイラインは1990年に5勝、1991年に3勝、1992年に3勝、1993年に４勝を記録。1990年に星野一義、鈴木利男、1993年に影山正彦がチャンピオンに輝くなど、文字通りシリーズの“顔”となったマシンである。今回出走するのは、日産ヘリテイジ・コレクションの所蔵車で、1990年に星野、鈴木が王座を獲得したマシン。ドライブするのは今季もTEAM IMPULのエースとしてGT500で活躍する平峰一貴だ。

1986年のDTMから190E 2.3-16と共にワークス活動を再開したメルセデス・ベンツ。BMW、アウディとの死闘の中、1990年にはオーバーフェンダーとハイマウント・ウイングで武装したボディに、370PS以上にチューンした2.5ℓ直4DOHC16バルブ・エンジンを搭載する最終進化型というべき190 Evo2を投入。1992年には24戦中16勝を挙げコンストラクターズ・タイトルを獲得する圧倒的な強さを披露した。中でもブリヂストン・タイヤの独占供給を受けるAMGチームのクラウス・ルドビクは5勝を挙げ、見事ドライバーズ・チャンピオンを獲得。出走車はその1992年のルドビクのマシンである。

ラリーで有名なクスコレーシングは1997年からJGTC（全日本GT選手権）GT300クラスに参戦を開始。マシンは２ドアの初代インプレッサGC4型をベースに全日本ダートトライアル選手権のDクラス王者のノウハウを注ぎ込み製作されたものでSTIチューンのEJ20型ターボを搭載。4WD車に課せられるウェイトハンデを避け、敢えてFRを選択していた。フル参戦初年度となった1998年の第５戦ツインリンクもてぎでは小林且雄と玉本秀幸がポール・トゥ・ウインを達成。2001年にはT1サーキットで2位、スポーツランドSUGOで3位に入りシリーズ8位を獲得している。

ヒョンデ・アクセントWRCは、イギリスのMSD（モータースポーツ・ディベロップメント） とのジョイントで開発され、2000年のWRC（世界ラリー選手権）のラリー・スウェーデンにケネス・エリクソン、アリスター・マクレーのドライブでデビューしたWRカー。その後も参戦を続けるも、2003年シーズン途中で資金難から撤退を余儀なくされた悲運のマシンである。これは韓国の有志によって、当時のスペックを再現したレプリカ車両。オリジナルは2ℓ直4DOHCターボのベータ・エンジンだったが、この車両には350PSを発揮する2.6ℓのスバルEJ257エンジンが搭載されている。

1970年代から80年代にかけて富士スピードウェイを舞台に、参戦するドライバーとマシン（メーカー）、そしてタイヤメーカーたちのそれぞれが凌ぎを削ってコンマ１秒を争うという、日本で最もコンペティティブなレースとして進化を遂げ、人気を博したマイナーツーリング。その伝説のツーリングカーレースが『FUJI MINOR TOURING 』として復活。今回の真庭速祭に出走するB310 TSサニーは『FUJI MINOR TOURING 』に参戦しているマシンで、フルスクラッチで製作され今年の夏に実戦形式でのシェイクダウンを終えたばかりのニューマシン。TSサニー（1300cc以下のツーリングカークラス）を製作／メンテナンスし、自身もドライバーとして参戦してきたテクニカルサービスインフィニティー代表の大野孝司が手がけた１台である。エンジンは特殊ブロックを用いたフルチューンのA12Aを搭載し、最低車体重量700kgのボディを走らせFSWのラップタイムは冬季なら1分58秒台を叩き出す。シェイクダウンを兼ねて出走した今年8月の『FUJI MINOR TOURING 2025』では織戸 学がステアリングを握り、予選は見事3番手。決勝はミッショントラブルに見舞われたがトラブルが発生する5周目まではトップ争いを演じ、そのまま完走を果たしている。真庭速祭のドライバーも織戸 学が務める。TSサニーが峠でどんな走りを見せるのか？期待したい。

岡山県真庭市出身のレーシング・ライダーで、真庭市交通安全大使も務める松岡玲。今シーズンもMFJ全日本ロードレース選手権ST600クラスにITO RACING BORG CUSTOMから参戦し、Rd4もてぎで２位、最終戦鈴鹿でポールポジションを獲得。さらには鈴鹿8耐にBAKUON!! RPT NAGANO & RT MATSUNAGAから初参戦し完走を果たすなど、随所で活躍をみせた。今回、松岡が駆るのは共にST600クラスを戦う愛機、YAMAHA YZF-R6。もちろん真庭速祭で2輪が走るのは今回が初めて。果たして現役ライダーがどのような走りを見せるのか、注目していただきたい。

23歳の時にオーストリア・グミュントインケルンテンで初めてポルシェ935を見て衝撃を受けた岡山のカスタムビルダーMADLANEの大橋和生が、“935をMADLANE流に現代に甦らせる”をテーマに6年の月日をかけ、2024年に完成させたワンオフ・モデル。964カレラ2をベースとしているものの、シャシーは１から作り上げたパイプフレーム。リヤカウルは本物の935K4をベースとしたもの。空冷フラット6エンジンは２基のKKK製3LDZターボを装着したフル・レーシングスペックとなるなど、ほぼすべてにわたって、大橋自身の手で作り替えられている究極のカスタムメイドである。

2025年8月26日に18年におよぶ歴史を閉じた日本を代表するマルチパフォーマンス・スーパースポーツ、日産GT-R（R35型）。GT-R NISMO はGT3仕様のターボチャージャーや高精度、重量バランスの取れたパーツを採用し、回転数の向上とターボのレスポンス向上を実現した599PSのVR38DETTエンジンを搭載するスペシャル・モデルである。これは空力特性や4WD制御が大きく改良された2024年型で、ダンロップが公道用として専用開発した『SP SPORT MAXX GT600DSST』を履き、2024年1月に飯田章のドライブにより筑波サーキットの市販車でのラップレコード58秒820を記録した個体。

ポルシェ初の市販BEVとして2019年に発表されたタイカン。その最高峰仕様として用意されるタイカン・ターボGTは、前後2基のモーター、フォーミュラEマシンの技術を応用した最大900Aの電流値を可能とするパルスコンバーター、強化された2速トランスミッションを備え、通常最大出力789PS、プッシュ・トゥ・パス機能使用時952PS、ローンチコントロール使用時に最大で1034PSを発生する史上最もパワフルなポルシェである。また後席を省くなどして75kgの軽量化を図り、専用エアロパーツを装着したトラック仕様のヴァイザッハ・パッケージは、最高速度290km/h、0-100km/h加速2.3秒を誇る。